1. はじめに

近年、3Dセンサにより測定対象物までの距離や大きさ、位置などが計測できる「3次元点群処理」技術が注目されています。
特に、3Dセンサの活用事例として有名なものを例に挙げると、車の自動運転を実現するために3D-LIDARを活用して、車の周囲の情報を3D点群データとして取得し、前方車両や歩行者の認識・位置情報を分析・把握することで安全管理を実現しています。
さらには、インフラの保守点検や工事現場における安全管理、物流倉庫などの在庫管理を中心に活用が広がっています。
最近では、3D点群データを取得するためのセンサやアルゴリズムなどの技術発展や性能向上、価格低下により、空間の3D点群データが様々な形で利活用されるようになり、自動運転・ロボットビジョン・マシンビジョンへの応用が期待されている注目の技術となっています。

2. 3D点群データとは？

点群(ポイントクラウド)とは、点の集まりを意味しており、一般的には3次元の座標(x,y,z)で表現されます。3D点群データは座標(x,y,z)の集合体であり、ファイル形式としてはpcdやplyなどをはじめ様々な形式が存在しています。
3D点群データは、3Dセンサにより取得が可能であり、3Dセンサとしては主に以下のようなものがあります。

図１は、3D-LIDARにより取得した3D点群データの一例になります。撮影データの中に、車や樹木、電柱が確認できますが、これらは座標(x,y,z)の点の集合体により構成されています。

3. 「3次元点群処理」技術とは？

3Dセンサにより取得した3D点群データは、3Dセンサに付属する専用のビューアーなどで図1のように可視化することができます。ただし、可視化しただけでは、3Dセンサで撮影した空間が立体的な3Dデータとして可視化されるだけであり、お客様の業務に直結したデータを得ることができません。
そこで、3D点群データを分析するために必要となるのが「3次元点群処理」技術です。3次元点群処理のためのオープンソースのソフトウェアライブラリであるPoint Cloud Library(PCL)(※)が有名ですが、このPCLや機械学習、さらには数学的な知識を活用して、撮影した3D点群データから「可視化／測る化／自動化」を手助けして効率化するための技術の実装が必要です。

(※)PCL：https://pointclouds.org

「可視化／測る化／自動化」 の一例を以下に示します。

3Dセンサを購入しただけでは、3D点群データの可視化までは可能になります。電柱のオブジェクトを検知して自動で電柱の高さを計測したり、工事現場で作業中の作業員（人）を自動で検知したりして危険エリアに侵入した時に警報をあげるためには、お客様が求める結果に3D点群データを分析して変換する「3次元点群処理」が必須となります。

4. おわりに

今回は3Dセンサを活用した「3次元点群処理」技術について紹介しました。

「3次元点群処理」技術は、インフラの保守点検や工事現場における安全管理、物流倉庫などの在庫管理を中心に業務の効率化・自動化を実現するものとして期待されています。

NEC通信システムでは、3Dセンサを活用した空間認識ソリューションとして、空間そのものや空間内に存在する物を認識し、お客様にとって価値のある情報に変換することで、お客様の課題を解決するソリューションを提案します。

3Dセンサを活用したNEC 3次元積載量可視化ソフトウェア、NEC 3次元測量支援ソフトウェアおよびNEC 3次元体積計測ソフトウェアを紹介しておりますので、ぜひご参照頂き、お気軽にお問い合わせください。