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NEC通信システム、竹中工務店やセンシンロボティクスと3次元屋内外位置測位技術(MBS)によるドローン自律制御に向けたリアルタイム位置測位の技術実証を実施

日本電気通信システム株式会社

 日本電気通信システム株式会­*1(以下NEC通信システム)は、建設業界大手の株式会­社竹中工務店*2、ドローンなどロボティクス技術に長けた株式会­社センシンロボティクス*3と共に、3次元屋内外位置測位(MBS*4)の技術を活用したリアルタイム位置測位の技術実証を本年8月に実施し、自律航行型ドローンの制御に向けた屋内外でシームレスな位置測位が実現可能であることを確認しました。

背景

 近年建設業界では、入職者の減少や働き方改革などにより、労働生産性の向上や労働時間の改善などが強く求められており、より高い生産技術の追求が進められています。このため、建設現場においてロボットによる定期巡回や物資運搬による作業効率化のニーズが高まっており、特にドローンは路面状況の影響を受けず、建設現場の日々の環境変化に強いため注目されています。

 自律制御を行うためにはまず機体の位置の把握が重要となるため、これまでの建設業界では様々な取り組みが行われてきました。例えば、GNSS*5/RTK*6などの衛星測位の技術は屋外においては詳細な位置情報を得ることが可能であり、ドローンを屋外で位置把握のために既に数多く利用されています。一方屋内ではこの衛星測位方式が利用できないため、SLAM*7/VSLAM*8などのレーダーや映像を分析し地図のマッピングと自己位置推定を行う方法を利用することが一般的です。しかしこれらの方式は、特徴点の少ない壁面では測位に失敗する場合や、似たような構造をしているフロアの区別ができないなどの弱点があります。今回、屋内外を問わずシームレスに測位可能であるMBSの技術を元に、こうした屋内外を行き交うドローンの自律制御のためのリアルタイム位置測位技術が実現可能であるかを検証しました。

<自律ドローンによる巡回イメージ>
<自律ドローンによる巡回イメージ>

今回の取り組みについて

 今回の実証では、まず3次元屋内外位置測位を行うMBSサービスを元に数十ミリ秒ごとのリアルタイム測位を行う独自方式の位置トラッカー(以下MBSトラッカー)を試作してドローンに搭載しました。MBSサービスが建設現場において機能することは既に実証済みであるため*9、今回は屋外において係留状態のドローンを手動で航行させ、ドローンでRTKの位置測位をすると同時に真下の地面に向けてレーザー測距を行い、MBSトラッカー、RTK、レーザー距離計のデータを同時に取得して比較分析を行いました。

 また、MBSサービスの利用やデータの出力先としてクラウドとの通信を行うために、MBSトラッカーと地上との間はプライベートLTE*10方式であるsXGP*11を用いて高信頼なデータ回線を構築しました。

<実証構成概要>

<実証構成概要>

<実証の様子>

<実証の様子>

成果と今後の取り組み

 今回のドローン上での実証により、MBSサービスを元にしてリアルタイム測位を実現可能であることや、sXGPにより高品質なデータ回線が確保できることが確認できました。また、高さの測位に気圧を利用するMBSに対しドローンのプロペラによる気圧の変動の影響についても確認することができ、測位誤差の修正に向けた知見を得ることが出来ました。   
 このリアルタイム位置測位の技術をドローンの自律制御と連携させ、屋内外をシームレスに運行させる技術を開発することで、今後の建築現場での労働生産性の向上や、物流運搬における改革が期待できます。

 NEC通信システムは竹中工務店などと共に、この検証結果をもとに、時代に即した安全・安心なサービス提供を通じて建設業界のデジタルトランスフォーメーションを加速し、新たな社会価値の「共創」により建設DXの促進に貢献していきます。

 

  • *1 日本電気通信システム株式会社(NEC通信システム):MBS応用適用、データ通信構築

      本社:東京都港区、代表取締役 社長 源 和憲

  • *2 株式会社竹中工務店:生産技術向上に向けた建設DXを推進

      本社:大阪府大阪市、取締役 社長 佐々木 正人

  • *3 株式会社センシンロボティクス:ドローン操縦制御などロボティクス技術を提供

      本社:東京都品川区、代表取締役社長 CEO 北村 卓也

  • *4 MBS: Metropolitan Beacon System

      https://metcom.jp/service/ (MetCom社)

  • *5 GNSS: Global Navigation Satellite System

      全球測位衛星システム、いわゆるGPSを含む

  • *6 RTK: Real Time Kinematic

      複数のGNSS受信局を用いた相対測位による高精度測位方式

  • *7 SLAM: Simultaneous Localization and Mapping

      自己位置推定と環境地図作成を同時に実行すること

  • *8 VSLAM: Visual SLAM

      SLAMの内、映像分析を用いた方式

  • *9 「NEC通信システム、竹中工務店などと3次元屋内外位置測位技術(MBS)およびBIMを活用して建設DXに向けた技術実証を実施」、2022年11月  

      https://www.ncos.co.jp/news/news_221109.html (当社プレスリリース)

  • *10 LTE: Long Term Evolution

      4Gモバイル通信方式の一種

  • *11 sXGP: shared eXtended Global Platform

      免許が不要なプライベートLTE方式

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