「マーカー測位技術」の開発に挑戦
拡張現実の技術を応用し、屋内外の資材位置を高精度に測位する
Challenge to develop "marker positioning technology"
Apply augmented reality technology
to locate materials indoors and out with high accuracy
to locate materials indoors and out with high accuracy

OUTLINE
工場や倉庫内の資材・仕掛品の保管位置を高精度に測位するための新技術として開発された「マーカー測位技術」。この技術は、拡張現実(AR)で用いられているカメラと対象物のあいだの距離と角度を計算できる理論を応用し、壁面や柱、資材などに取り付けられたマーカーをカメラで撮影することで、カメラ位置や資材位置を測位するものである。この技術によって資材の保管位置を1m以内の精度で把握することが可能になり、効率的な資材管理ならびに工場の業務効率化に貢献する。


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ソリューション開発本部
新技術開発グループ
※組織は2020年1月時点長谷川 貴宏Hasegawa Takahiro2008年 入社 -
PROFILE学生時代に情報理論、統計学、計算機科学、プログラミングを学習。その時にプログラミングの楽しさと奥深さに気づいたという。入社5年目に新技術開発の仕事に携わり、つねに新しい技術の開発にチャレンジしている。

工場の課題解決を図る「資材監視ソリューション」を開発。
私が所属する新技術開発グループは、文字通り当社の新規事業開拓のための新技術の開発を担当する部署です。IoTや車載、セキュリティといった技術領域を中心に、社会のニーズに応えられる技術開発を通して新しいビジネスを創出することがミッションです。私はそのなかでIoTのチームの一つに関わっており、数年前から製造業の工場を訪問してお客様のニーズをヒアリングしていく中で、資材管理の課題があることが分かってきました。広大な工場の敷地内には搬入された資材や、加工途中の仕掛品などが保管されており、それらの管理が煩雑で大変だということでした。例えば、資材を探すことに多くの工数が発生したり、仕掛品をどこに保管したのかが不明になり新たに作り直すこともあるなど、効率化の余地がある工場が数多くありました。
そのような状況を変えるために、当社では「資材監視ソリューション」を開発し、製造業の工場で資材や仕掛品の位置を一元管理し、位置情報として可視化表示できるシステムをお客様に提供してきました。この資材監視ソリューションで位置情報を得るためにまず使用したのがbeacon (ビーコン)とGPSです。屋外ではGPSで位置を得て、屋内であればビーコンと呼ばれる電波を定期発信する装置をあちこちに設置し、移動者が受信機を持ち、どの発信機に近くにいるかを位置情報として得るという仕組みです。こうした「資材監視ソリューション」によって製造業のお客様の課題解決を図ってきました。
そのような状況を変えるために、当社では「資材監視ソリューション」を開発し、製造業の工場で資材や仕掛品の位置を一元管理し、位置情報として可視化表示できるシステムをお客様に提供してきました。この資材監視ソリューションで位置情報を得るためにまず使用したのがbeacon (ビーコン)とGPSです。屋外ではGPSで位置を得て、屋内であればビーコンと呼ばれる電波を定期発信する装置をあちこちに設置し、移動者が受信機を持ち、どの発信機に近くにいるかを位置情報として得るという仕組みです。こうした「資材監視ソリューション」によって製造業のお客様の課題解決を図ってきました。




より高精度で利便性の高い「マーカー測位技術」の開発に成功。
しかし、このソリューションには幾つかの課題がありました。それは、ビーコンやGPSを使った同様のソリューションは他社からもリリースされており当社の競争力を高める必要があったことと、ビーコンを利用した測位技術は10m程度の精度しかなく、より細かい精度での位置管理を希望されるお客様の期待に応えられなかったことでした。ビーコンとは異なる電波で高精度に測位する方法は存在するのですが、非常に高価です。また、電波には金属で反射するという特性があり、鉄材を扱われているお客様には環境次第で適用が難しいこともありました。そこで他社製品と差別化を図るために、電波以外を利用して高精度に測位する方式として開発したのが「マーカー測位技術」なのです。
マーカー測位は、拡張現実(AR)で用いられているカメラと対象物のあいだの距離と角度を計算できる理論を応用して、工場の壁面や柱、資材などに貼り付けたマーカーを撮影することで、カメラ位置や資材位置を測位するという技術です。例えば、マーカーを撮影した2枚の写真があり、1枚目にはマーカーが大きく、2枚目は小さく写っていたとします。カメラのズームが同じなら、1枚目は近くから、2枚目は遠くから撮影してそうだという遠近感が想像できますよね。マーカー測位では、このような遠近感を三次元的に計算しているのです。 この技術によって資材の保管位置を1m以内の誤差で把握することが可能になり、資材を取り出す際の資材探しが容易になります。また、画像解析なので金属による電波遮蔽の影響を受けることもありません。またマーカーは、ビーコンなどの電波方式では必要であった電源維持や電池交換も不要であり、保守性にも優れています。
マーカー測位は、拡張現実(AR)で用いられているカメラと対象物のあいだの距離と角度を計算できる理論を応用して、工場の壁面や柱、資材などに貼り付けたマーカーを撮影することで、カメラ位置や資材位置を測位するという技術です。例えば、マーカーを撮影した2枚の写真があり、1枚目にはマーカーが大きく、2枚目は小さく写っていたとします。カメラのズームが同じなら、1枚目は近くから、2枚目は遠くから撮影してそうだという遠近感が想像できますよね。マーカー測位では、このような遠近感を三次元的に計算しているのです。 この技術によって資材の保管位置を1m以内の誤差で把握することが可能になり、資材を取り出す際の資材探しが容易になります。また、画像解析なので金属による電波遮蔽の影響を受けることもありません。またマーカーは、ビーコンなどの電波方式では必要であった電源維持や電池交換も不要であり、保守性にも優れています。




実証実験を進めて各工場の状況に応じたソリューションを提供する。
「マーカー測位技術」は従来の方式にはない優位点がある技術だと自負していましたが、ただひとつ心配だったのはマーカー測位技術の優れた点を社外の方に理解していただけるかという点でした。そこでプレゼンテーションも資料だけの説明ではなく、視覚的に有用性を訴えるための戦略を立てました。それは、実際に動作するデモを構築し、実演することで、システムの原理や優れた機能性を伝えるという戦略です。得意なプログラミングのノウハウを駆使してデモ開発に取り組み、展示会やプレゼンテーションの場では、ミニチュアのフォークリフトを実際に動かして資材位置を把握する様子をわかりやすく展開。そのようなプレゼンテーションが功を奏してか、お客様から多くの反響を得ることができました。
現在は、引き合いのあったお客様の工場での実証実験段階に入っています。お客様のニーズを聞き入れつつ、技術を更に磨き上げ、また他の領域に応用させることにも挑戦したいですね。この「マーカー測位技術」によって、お客様が抱える課題を解決しつつ、当社の新規事業拡大にも寄与したいと考えています。
現在は、引き合いのあったお客様の工場での実証実験段階に入っています。お客様のニーズを聞き入れつつ、技術を更に磨き上げ、また他の領域に応用させることにも挑戦したいですね。この「マーカー測位技術」によって、お客様が抱える課題を解決しつつ、当社の新規事業拡大にも寄与したいと考えています。


OFF SHOT
休日の過ごし方
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散歩しながら撮影を楽しんでいます!休日もプログラミングしていることが多く、最近は「競技プログラミング」に参加しています。この競技では、定期的に開催されるコンテストに数千もの人たちが参加して、アルゴリズムによる問題解決の腕を競い合っています。毎回順位やレート(級位)も発表されるので、オンラインゲーム感覚で上位を目指してスキルアップに励んでいます。それから写真を撮るのも趣味で、外出する時はカメラを持参することが多いですね。散歩途中などで気にいった風景があれば撮影しています。こちらは夜の横浜での一枚です。